【本の紹介】『〝日本一貧乏な観光列車〟が走るまで 「ながまれ海峡号」の奇跡』
最近読んだ本を紹介します。
佐藤優子『〝日本一貧乏な観光列車〟が走るまで 「ながまれ海峡号」の奇跡』ぴあ、2018年
この本は、北海道新幹線の並行在来線としてJR北海道から経営分離されて、第三セクター鉄道として発足した「道南いさりび鉄道」の観光列車の誕生を書いた本です。
JR北海道から譲渡された古いディーゼルカーを改造しようとするも、他の観光列車の例と比べても一桁、二桁少ない改造予算などハンデを抱える中、観光列車立ち上げを任された旅行会社の人が、地元の人を巻き込みながら立ち上げていった過程が書かれています。
最初、観光列車立ち上げに対する地元の人は「何もないところに」という反応だったようです。
私の気になった個所は、以下の2ヶ所。
「観光業とは無から有を創り出す〝感性の産業〟」(187ページ)
「過去の旅行商品企画の経験から『ニュースを見た』『新聞に載っていた』ことが、次の参加者を連れてくることもわかっていた。いかに地元に魅力的にうったえるか。」(41ページ)
この本から、地元の留萌本線のことを考えると、かつてのS Lすずらん号のように観光列車の可能性もあると思いますが、まずは地元の人が関心を持つきっかけを作ることが必要と思いました。
北海道の鉄道は、JR北海道の路線見直し問題で岐路に立たされていますが、無から有を創り出した明るい事例として、参考になる本ですので、関心のある方はぜひお読みください。
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